東日本大震災が発生した2011年3月11日当時、東京電力など電力大手7社は、津波警報発令時に原発の建屋の扉を閉めなければならないとのルールを明文化していなかった。これと対照的に、茨城県にある日本原子力発電の東海第二原発や福井県にある関西電力の3か所の原発は当時すでにそうしたルールを所内の規則で定めていた。日本国内で原発を保有する電力9社に取材したところ、そうした違いが明らかになった。東京電力の福島第一原発1号機では、このルールの欠如が一因となって、同日午後、大物搬入口の防護扉を開け放った状態で津波にあい、コントロール建屋の奥深くにあった制御中枢への海水の直撃を許し、炉心溶融事故に至った。現在は、原発を保有する国内の電力大手9社すべてがそうしたルールを明文化している。
詳しくは、7月10日発売の『週刊エコノミスト』2023年7月18日・25日合併号 p.74-78に掲載された奥山俊宏「『防護扉』開放で大量浸水許す」、https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20230725/se1/00m/020/048000cで。