【担当記者解説】 SNSやインターネットによって芸能人やインフルエンサーたちの発信が日々、目の前に繰り返し届けられ、それによって若い女性たちは、そのダイエット意識に大きな悪影響を受けている――。同級生らを対象に行ったアンケートの結果から、私たちは、このように結論づけることができる。
アンケートの結果によれば、ダイエットの情報をSNSから入手し、実践している若者は少なくない。女子大学生の過半数はそうだと言って過言ではない。しかし、科学的・医学的な根拠に基づいて発信されている情報か否かを見極めて、適正な情報にのみ依拠して行動するのは、素人には容易なことではない。
「SNSやインターネットで入手するダイエットに関連する情報の中で、科学的・医学的な根拠に基づいて発信されたものはどの程度含まれていますか?」との質問に対し、回答した女子学生の7割、123人が「少しだけそうである」と答えた。にもかかわらず、そのうち62%の76人が「SNSやインターネットで流れる情報がきっかけで、ダイエットをしたことはありますか?」との問いに「ある」と答えている。「全てそうである」「ほとんどそうである」と答え、ネット情報を信用しきっているように見えるのは11人(7%)にとどまるが、そのうち9人がそうした情報をきっかけにダイエットに取り組んでいる。専門家の話を聞き、それなりに勉強してきた私たちにとっては、健康を損ねることはないのだろうかと心配になるアンケート結果だ。
専門家の監修を受けず、受け手によっては有害なダイエット情報が、たくさんの女性の目の前に「これでもか」と言わんばかりに繰り返し表示されている現状は、SNSの大きな問題点だ。このように私たちの取材やアンケートによって明らかになった、少女と女性の間を生きる若者らの声を聞き逃してはならない。
私は20歳の女性として、自分の体形に強い関心を持っている。塩分の排出を促進する働きを持つといわれるカリウムの成分を含んだサプリメントをアメリカのショッピングサイトで購入し、むくみを解消しようと服用したことがある。その結果なのか、血圧が急激に低下し、ひどいしびれと脱水症状に陥ってしまった。そのカリウムのサプリメントの情報を知ったのは、SNSのツイッターで拡散されているのを見たからだ。
私たちは、SNSで芸能人やインフルエンサーの姿の画像や映像をよく目にする。とてもきれいに見える。それに引きかえ、自分だけが太っていると、ふと思ってしまうことがある。ダイエットを必要としているのは私だけかもしれない。そんな不安を抱えるようになって6年たつ。
「やせたい」との思いとSNSの関係をテーマにした取材やアンケートは、そんな私自身の不安を少しでも減らしたい、という動機から始めた。「やせたい」という普通の感情を持つ1人の女子大生として、アンケート結果や専門家の見解、学生の体験談を通じて、同じ悩みを抱える同年代の女性たちに「あなただけではない」と伝えたい。