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  • 執筆者の写真滝川乃彩

アンケート回答の女子大学生の65%がSNSなどネット情報をきっかけにダイエット

韓国女性アイドルの細身写真をSNSで見てダイエット、嘔吐を繰り返したケースも


 ダイエットとSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の関係について、上智大学の学生にアンケートしたところ、回答した女子学生165人のうち74%の122人が、SNSなどインターネットで見かける情報によって自分の体形への満足度に影響を受け、65%の108人がそれらネット情報をきっかけにダイエットに取り組んだことがあると答えた。


 ネット上で1日に少なくとも1回はダイエットに関する情報を目にするという学生が112人(68%)、うち5回以上が30人(18%)。芸能人やインフルエンサーのダイエット方法や、1日16時間の断食など、SNSで知った方法を自分でも試したとの声が数多く寄せられた。


 ある女子学生は取材班のインタビューに、コロナ禍で家にいたときにSNSで目にした韓国女性アイドルの細身の画像や映像に影響されてダイエットに取り組んで実際に4キロやせたものの、あるときから逆に過食となり、「食べた分を吐く」のを繰り返したとの経験を語った。


米国では若い女性へのインスタグラムの悪影響が社会問題に


 米国では2021年秋、メタ社(旧・フェイスブック社)の経営陣が、同社の画像・動画投稿サイト「インスタグラム」によって10代少女が心理的な悪影響を受けている実情を知りながら、具体的な対応を怠っていたことを示す社内文書が同社の元社員による内部告発で明るみの下に出て、大きな社会問題となった。


 「やせたい」との思いとSNSの関係に焦点を当てて日本の20歳前後の一般女性に100人超の規模でアンケートした例は、日本国内には他に見当たらない。7割近くの回答者が実際にネット情報をきっかけにダイエットをしたことがあるとの結果は、若い女性のメンタルヘルスの問題とSNSの関係の深刻さを日本国内でも改めて示したといえそうだ。



半数以上がダイエット情報を毎日ネット閲覧、74%が体形満足度に影響


 上智大学文学部新聞学科の学生有志らで運営するウェブメディア「Atta!」の取材班は2022年12月、学内の学生を対象にSNS・インターネットとダイエットに関するアンケートを行った。18歳から23歳までの217人が回答し、このうち165人が女性で、取材班は主にこの165人の回答内容を分析した。

 SNSやインターネットでダイエットに関する情報をどれくらいの頻度で見かけるか、という質問に対し、1日に5回以上と答えたのは30人(18%)で、ほかに1回以上と答えた82人(50%)がいた。つまり、回答した女子学生の68%が毎日、ネット上でダイエットに関する情報を目にしている。


 SNSやインターネットでダイエットに関する情報を自ら検索することがあるかとの質問には、26人(16%)が「よくする」、85人(52%)が「時々する」と答えた。「あまりしない」と答えた36人(22%)、「全くしない」という18人(11%)は少数派だった。


 SNSやインターネットで見かける情報が、自分の体型への満足度に影響を及ぼしたことはありますか?との質問への回答も似た分布になっており、49人(30%)が「よくある」、73人(44%)が「時々ある」と答える一方、「あまりない」は36人(22%)、「全くない」は7人(4%)だけだった。

 SNSやインターネットでダイエットに関する情報を1日5回以上見かけると答えた30人のうち半数の15人が、SNSやインターネットで見かける情報が自身の体型への満足度に影響を及ぼしたことが「よくある」と答えたのに対し、全く見ないと答えた6人のうち「よくある」と答えたのは17%の一人だけだった。SNSやインターネットでダイエット情報を見かける頻度と、そうした情報が自身の体型への満足度に影響を及ぼす影響が「よくある」と答えた人の割合の間には、おおむね相関関係があった。

 SNSやインターネットで流れる情報がきっかけで、ダイエットをしたことはありますか?との質問には、ほぼ3分の2の108人が「ある」と答え、他方、「ない」と答えたのは3分の1の55人だけだった。

「韓国アイドルに憧れる女子大生👩🏼」「元62kg→46kgの16kg減💛」と自己紹介しているユーザー名「korean_dieter_0」の投稿(https://www.instagram.com/p/CdKBKwIJjSe/)に掲載された画像。「IU式」「5日で5kg減」「簡単ダイエット」の見出しの両脇に、ややふっくら見えるIUさんとほっそりして見えるIUさんの写真が並べられ、ダイエットの効果が強調されているように見える。
「韓国アイドルに憧れる女子大生👩🏼」「元62kg→46kgの16kg減💛」と自己紹介しているユーザー名「korean_dieter_0」の投稿(https://www.instagram.com/p/CdKBKwIJjSe/)に掲載された画像。「IU式」「5日で5kg減」「簡単ダイエット」の見出しの両脇に、ややふっくら見えるIUさんとほっそりして見えるIUさんの写真が並べられ、ダイエットの効果が強調されているように見える。

 ダイエット情報を入手したことのあるSNSの選択を求めると、最も多かったのはメタ社のインスタグラムで144人。9割近くの学生が使っていた。次に多かったのは動画投稿サイトのユーチューブの124人で4分の3ほど。短文投稿サイトのツイッターは84人、短尺の動画をシェアするスマートフォン向けサービスのティックトックは77人で、ほぼ半数だった。一人で複数のSNSを使っている学生が多い。


 SNSやインターネットで情報を入手し、実際に行ったダイエット方法について、記述回答を求めたところ74人が回答し、うち8人が「16時間断食」、6人が「ファスティング」と回答した。「16時間断食」というのは、1日24時間のうち16時間は何も口にせず、残りの8時間で食事を済ますというダイエット方法。「ファスティング」は一定の期間食べ物を断つことを意味する。英単語の「fast」は、「速い」という意味の形容詞として使われるだけでなく、「絶食する)「断食する」という意味の動詞としても使われており、それが「ファスティング」の語源だ。


 「IUダイエット」を挙げた学生が3人いた。「IU」の名前で活動する韓国の女性歌手のイ・ジウンさんのダイエット方法としてインスタグラムで紹介されており、朝食にりんご1個、昼食にさつまいも1個、夕食にプロテイン1杯を摂取するのにとどめる。


 「ひなちゃんねるの足痩せ」と答えた学生も3人いた。ユーチューバーの加藤ひなたさんがユーチューブ上で「1週間で脚やせ」と題してトレーニングやストレッチ方法を紹介しており、それを指すとみられる。


 Atta!編集部は5月1日、メタ社の広報担当部門にコメントを求めるメールを送ったが、6月5日時点で返答はない。

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